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相続税申告を税理士に依頼するメリット|申告の手間や節税効果、追徴課税との関係 - 古野孝行税理士事務所

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相続税の申告作業は税理士に頼んで対応するのが一番です。ご自身で申告を行うこともできるのですが、大量の必要書類の準備から節税対策、税務調査への対応まで考えると、費用をかけてでも依頼するメリットの方が大きいと考えられるからです。
ここで「税理士に相続税の申告を依頼するメリット」を挙げていきますので、相続のことでお悩みの方、税理士の利用を検討している方などは参考にしていただければと思います。

 

税理士に相続税申告を依頼するメリット

税理士に相続税の申告を依頼することで、次のようなメリットが得られます。

 

  • 申告までの手間が省ける
  • 効果的な節税対策ができる
  • 追徴課税のリスクを下げられる
  • 信頼できる他の専門家に繋いでもらえる
  • 税務調査に対する心配が少なくなる

各メリットについて詳しく説明していきます。

 

申告までの手間が省ける

相続税の申告を自分で行う場合、必要書類を調べ、それらすべてを取得あるいは作成しないといけません。

手続内容についても調査し、どこで何をしないといけないのかを学ぶところからスタートすることになります。

 

また、申告を行う前にしないといけない手続も多数あります。

例えば相続財産の内容を調査したり相続人を調べたり、遺産分割協議を経てご自身が取得する財産も確定させないといけません。その後取得することが決まった財産についての名義変更も必要ですし、税額計算のために財産の価額評価も行わないといけません。

 

スムーズに進められたとしても相当の日数を要します。

相続手続に慣れていない方だとより時間が必要になるでしょうし、申告作業が精神的な負担になってしまいます。

 

税理士に依頼すれば手続内容や必要書類を自分で調べたり、書類を集めたり、すべてを自分で対応する必要はなくなります。手間がかかる多くの作業を税理士にお任せすることができ、分からないことも税理士に相談すればすぐに解決できるようになります。

 

相続税申告の必要書類

相続税の申告をする場合、一般的には次のような書類を準備することになります。

 

  • 被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本
  • 相続人全員の戸籍謄本と印鑑証明書
  • 遺産分割協議書の写し
  • 遺言書(作成されている場合)

そのほか、取得した財産に応じて必要書類の内容は変わってきます。

 

例えば不動産の場合には「固定資産税名寄帳」「固定資産税評価明細書」「登記事項証明書」など(賃貸に出している場合には「賃貸借契約書」も)。生命保険金を取得したなら「生命保険金支払通知書や保険証券」。といった具合に、当該財産の存在や価額に関する証明書類の準備が必要になります。

 

債務に関しても相続および相続税課税の対象です。
そのため借入金がある場合には「金銭消費貸借契約書」と「借入残高証明書」を準備します。

葬儀費用についても計算する必要がありますので、領収書などは大事に保管しておきましょう。

 

効果的な節税対策ができる

税理士に財産の評価や特例等の活用など、相続税に関する作業を任せることで、節税効果を高められることがあります。
また、節税対策を考慮した遺産分割について、アドバイスをもらうこともできます。

特に価額の大きな不動産に関しては、分割や処分の方法次第で税額が大きく変わることもあります。

 

節税対策で検討すること

相続税の配偶者控除(配偶者の税額軽減)を適用することで、1億6,000万円または法定相続分相当額までなら無税にすることができます。このことだけを考えれば、配偶者に多くの財産を取得してもらうことで全体としての納税額を抑えることができるといえます。
ただ、その時点における相続だけを考えるのではなく、二次相続に関しても考慮することが大事です。

その後すぐに当該配偶者も亡くなり二次相続が発生してしまうと、子供らに大きな財産が移転することになり、納税の負担が大きくなる可能性もあります。

 

このように、全体として納税額を小さくするためには、二次相続のことに加え他の様々な特例の適用なども考慮しなくてはなりません。税に関する幅広い知識がないと適切な対応を取るのは難しいため、遺産分割前の税理士への相談がポイントになってきます。

 

追徴課税のリスクを下げられる

計算ミスなどにより、本来納めるべき相続税の額よりも小さく納めていた場合、追徴課税が発生するおそれがあります。正しい納税額に不足している分を納めるだけでなく、ペナルティとして、追加の納税も求められてしまいます。

 

納めるべき期日を過ぎれば過ぎるほど、不足分が大きいほど、ペナルティの負担は大きくなってきます。

税理士がついていればこうした問題が生じるリスクは下げられます。効率的に申告作業が進められ、期日に間に合わないという事態が避けやすくなりますし、計算ミスが起こるリスクも相当に下げられます。

 

相続税申告に関するペナルティの内容

「相続税の申告が間に合わなかった」「納付した相続税の額が正しい金額よりも少なかった」という場合、次のペナルティを課される可能性があります。

  • 無申告加算税
    期限まで申告をしなかった場合に無申告加算税が課税されます。原則として税額の15%を納付しないといけません。納付すべき額が50万円を超える場合は、超えた部分の20%の納付が必要です。
    ただし、期限を過ぎた後自主的に申告をした場合の無申告加算税は、税額の5%となります。
  • 延滞税
    期限を過ぎた日数に応じて、利息に相当する金額が延滞税として課税されます。そのため納付が遅くなるほど延滞税の額は膨らみ続けることになります。無申告加算税と延滞税の両方の課税も起こります。
  • 過少申告加算税
    申告した額に不足がある場合に過少申告加算税は課税されます。税務署の指摘を受けてから対応した場合は追加納付額の10%(一定の額を超える場合は15%)が課税されますが、税務調査の通知前に自主的に修正申告をした場合は課税されません。
  • 重加算税
    意図的に相続財産を隠すなど悪質な行為があった場合に重加算税は課されます。追加納付額の35%(無申告の場合は40%)で課税され、他のペナルティと比べても重く設定されています。

 

信頼できる他の専門家に繋いでもらえる

相続に関連して、税理士以外の専門家が必要になる場面もあります。例えば相続人や親族との間で紛争が起こった場合には、弁護士に解決を求めます。相続財産に不動産が含まれている場合、名義変更に登記申請を要しますので、司法書士に手続を依頼します。このように、状況に応じて様々な専門家を利用することがあるのですが、必要に迫られるたびに専門家探しを行ったのでは大変です。期限が迫っているときだと焦って探すことになります。

 

しかし専門家への依頼にも費用がかかりますし、同じ資格を持つ方でも実績や技量は異なりますので、むやみやたらに依頼するわけにもいきません。できるだけ実力があって、人としても信頼できる方を探すべきです。

 

この点、すでに税理士との繋がりが持てていれば、その税理士を介して信頼できる専門家を紹介してもらえることがあります。効率的に、効果的に専門家の利用ができるようになるでしょう。

 

税務調査に対する心配が不要になる

相続税の申告を終えても、ここで必要な作業が完結するとは限りません。

税務署から税務調査を受けることがあるからです。

 

調査への対応として、様々な質問や書類の提出を求められることになるでしょう。

調査の結果、間違いが発覚すると追徴課税されてしまいます。
そしてこの税務調査はいつやってくるのかわかりません。申告から約2年は調査に入られる可能性の高い期間になりますので、計算の正確性に自信のない方は、数年にわたり不安が残り続けてしまいます。

 

一方で税理士に任せていればそもそも計算ミスのリスクが小さい上に、税務調査が入ることになっても対応を任せられます。そのため申告者自身が不安を抱く必要はありません。

 

また、ご自身で申告をするよりも税理士が申告をした方が、税務調査に入る確率を下げられるともいわれています。
税務調査の確率が下がることが公表されているわけではありません。しかし税務調査に入る確率は、間違いの疑いが強いほど高くなると考えられます。その前提に従えば、自分自身で行うと税務調査の確率が高まるということになります。

 

税理士に相続税申告を依頼するときの注意点

税理士に依頼することで、上記のような様々なメリットが得られます。

 

ただ、依頼を決断する前に、税理士費用に関してはよく把握しておく必要があります。

どれだけの費用でどこまでの作業をカバーしてくれるのか、追加で費用が発生するのはどのような場合か、事前にしっかり話し合っておくことが大切です。

 

また、同じ税理士資格を持つ方でも得意分野が異なります。できるだけ相続税に強い税理士を探すようにしましょう。

これまでの実績、専門分野を聴き、技量的にも信頼できると感じる税理士に依頼すべきです。