相続税の税務調査とは?流れや調査に入られやすい人の特徴について
相続税を含む多くの税については、自主申告に基づいて納付を行う仕組みが採用されています。
そのため計算ミスが含まれている可能性もありますし、意図的に過小な申告がされている可能性もあります。
そこで税負担が不公平にならないよう税務調査が行われることがあります。
相続税の申告内容が正しいかどうかをチェックしに調査官がやってくるのです。
ここではこの税務調査の内容やどんな方が調査対象になりやすいのかを紹介いたします。
税務調査では申告内容の正確性がチェックされる
税務調査は相続税に限って行われるものではありません。各種税の申告について、税務署がその内容をチェックすることをいいます。
調査の方法はさまざまで多くは税務署側内部でチェックを行いますが、場合によっては申告者の元へやってきて直接聞き込みなどを実施するケースもあります。これは「実地調査」と呼ばれ、一般にいう「税務調査」はこの実地調査を指していることが多いです。
調査の対象や流れ
実地調査にも種類があります。いきなり調査官が自宅や事業所に訪問してきて有無を言わせず調査を行う「強制調査」と、事前に連絡を受けた上で調査が実施される「任意調査」があり、ほとんどは任意調査によってチェックが行われています。
なお、“任意”調査とはいえ自由に断ることはできません。調査の実施自体を避けるのは困難ですので、任意調査の申し入れを受けたときは断るかどうかではなく「どう対応すべきか」「何を準備すべきか」ということを考えるようにしましょう。
調査当日、調査官は2人以上でやってくるのが一般的です。被相続人等の預貯金については調査が済んでいることが多く、その場では被相続人の職業・収入・財産の状況などが聞かれます。ほかにも金庫や預金通帳のチェック、タンスの引き出しの中までチェックされることもあります。
その他、自宅にある財産に関する資料を提出することになるでしょう。その上で申告内容が正しいかどうかが判断されます。
相続税に関する税務調査の実態
税務調査の実施状況については毎年国税庁が公表をしています。
2023年に公表されたデータによれば、2021年度から2022年度にかけて、相続税に関する実地調査件数は大きく増加したことが分かっています。
2021年には調査件数6,000件超であったのに対し、2022年には8,000件超にまで増加。申告ミスなどの修正などを経て追加で支払うことになった税額(追徴税額)の合計も、560億円から669億円にまで増加しています。
実際、申告が漏れてしまっている財産も多く、その課税価格は2,630億円にも上ると報告されています。
納税者である相続人等にとってより問題なのは申告漏れによって課されるペナルティです。
税務調査によって本来納めるべき税額が明らかとなり、その差額を納めるだけであれば実質リスクはありません。
しかしながら、納付期限に間に合わないことや過少に申告していたことを理由に加算税が課されてしまうのです。
2022年度における追徴税額のうち本税は582億円であり、加算税だけで87億円が徴収されています。
税務調査を受けてミスが発覚すると、こうしたペナルティ分の納税が発生することには留意しましょう。
調査に入られやすい人の特徴
税務調査はランダムで実施されるわけではありません。調査をするにもコストがかかりますし、人員と時間も割くことになります。
このような事情があることから“調査をする価値のある人”に調査が入りやすいと考えられます。
具体的にどのような特徴を持つ方のことなのか、以下で紹介していきます。
被相続人が富裕層である
被相続人が富裕層で多額の財産を持っていたという場合は比較的税務調査が入りやすいです。
多額の財産があるということはそれだけ多くの相続税が発生しているということであり、ちょっとした計算ミスが相続税額にも大きく影響することとなります。
100万円の税額を徴収できる事案より1,000万円の税額を徴収できる事案を重視するのは、費用対効果の観点から自然なことです。
何をもって富裕層とするのか明確な線引きはありませんし、税務調査に入るかどうかの基準も公にはされていません。
ただ、資産が数億円以上あるケースや年収が大きな仕事・役職に就いていたケースでは調査に入られる可能性が高まるでしょう。
相続税の申告をしていない方
相続が発生したにもかかわらず相続税の申告をしていない場合、税務調査を受ける可能性が高くなります。
ただしこれは被相続人にそれなりの財産があった場合です。
そもそも相続税の申告はすべての方に義務付けられているわけではありません。
基礎控除額だけで3,000万円以上になりますので、それ以上の相続財産がなければ非課税となり、申告も基本的には不要となります。
そこで相続税の申告が不要になるのも決して珍しいことではありません。ただ、税務署側でもある程度財産状況を把握していますので、これまでの納税状況などと照らし合わせて「相続税の納税があってもおかしくない経済力があったのに申告がされていない」と疑われると税務調査の連絡を受ける可能性は高くなります。
国税庁からも「無申告事案は⾃発的に適正な申告・納税をしている方の公平感を著しく損なうため、無申告事案の把握を積極的に⾏って的確な課税処理に努める」との方針が示されています。
実際、無申告者に対する税務調査は700件ほど行われており、調査1件あたりの申告漏れ課税価格は1億円にも上ります。
全体で100億円以上の追徴税額が発生し、1件当たりでも約1,500万円の税額が追加で徴収されています。
海外資産を多く相続した方
被相続人が外国に資産を保有しているケースもあります。この場合、申告漏れが起こりやすいですし、バレないだろうと考え過少申告してしまう方もいます。こうした事情を踏まえて国税庁も「海外取引や海外資産の把握に努める」との意向を示しています。
租税条約などに基づく情報交換制度があるため、海外資産であっても国税庁が調べることは可能です。
「外国にある財産は申告しなくても問題ないだろう」などと考えないようにしましょう。
申告手続を自分で行った方
相続税の計算を自分で行い、自分で申告書を作成した方は、税理士が対応した場合に比べてミスが起こりやすくなります。
そこで税理士に依頼をしなかった場合、税務調査を受けるリスクが高まると考えられています。
※申告書には税理士名の記入欄があり、相続人自身が作成したものなのか税理士が依頼を受けて作成したものなのかは容易に判別が可能。
税理士に相続税の計算や書類収集、申告書作成を頼むことで得られるメリットも多くありますし、税務調査を受ける可能性を下げる意味でも相談・依頼を検討すると良いでしょう。もし税務調査を受けることになっても、税理士にサポートしてもらうことができます。
資格者紹介Staff
税理士古野孝行
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当事務所の税理士は、独立前から一貫して相続案件に注力しており、一般家庭から20億円規模の相続まで、累計で120件超の対応実績があります。専門性の高さと土地の評価には特に自信があり、その実力は他の専門家から相談を受けるほどです。若手税理士ですので、相続対策や相続発生時のみならず、その次の代までサポートできるのも強みの一つです。お困りの際はお気軽にご相談ください。
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