相続対策をするメリットと有効な対策の手段について解説
相続は様々なトラブルのきっかけになり得るものですし、多くの手続を進めつつも、所定の期間内に税金の計算から納税まで対応していかなければなりません。そこでできるだけトラブルなく、少ない手間で、相続人の負担を軽減するためには、事前の対策が欠かせません。
ここでは相続対策を行うことのメリットについて具体的に説明し、そのために行うべき有効な手段に関しても解説していきます。
メリット1:相続財産をめぐる争いの予防
ご自身の相続に関して対策を進めておくことで、相続財産をめぐる争いを予防しやすくなります。 相続が開始されると、亡くなった方(被相続人)の配偶者や子、あるいは親や兄弟姉妹が相続人となります。そしてそれら共同相続人の間で被相続人の財産を分けていくことになります。
民法で法定相続分という割合が定められており、これに従い分割することもできますが、相続人らで話し合って好きなように分割することもできます。
この話し合いは「遺産分割協議」と呼ばれます。 親族間の関係性が良好であれば穏便に協議が進み、特段トラブルになることもないのですが、場合によっては遺産をめぐって争いが起こることもあります。
相続人の一部が不平等を訴えてきたり、相続人間でどうしても取得したい財産が被っていたり、争いが起こる要因も様々です。
遺産分割協議をきっかけに関係性が悪化することもある上、訴訟にまで発展するおそれもあります。これを防ぐために相続対策は重要です。
遺言書を作成して対策
相続財産をめぐる争いを防ぐためには、「遺言書の作成」が有効です。 遺言書で遺産分割の方法やその他相続人らに伝えたいことを伝えることで、トラブルは防ぎやすくなります。遺言書に記載した内容には法的な拘束力が生じることにも起因します。
ただし、そのためには適式な形で遺言書が作成されていなければなりません。遺言書の正しい書き方については法令で決められていますので、専門家に助言を受けつつ作成を進めていくようにしましょう。 遺言書の効力を確実なものとするために「公正証書遺言」として作成する方法もあります。
遺言者1人で好きなときに作成できる「自筆証書遺言」と異なり、公正証書遺言は公証役場にアポを取り、期日にて、公証人や立会人とともに作成を行うことになります。手間や手数料はかかりますが、遺言書の紛失や改ざん、相続開始後に遺言書の無効を主張されるリスクなどを減らすことが出来ます。 なお、自筆証書遺言であっても近年できた制度により、法務局にて安全に保管することは可能です。
また、ご生前にご家族で話し合って遺産分割の方針を決めたうえで遺言書を作成いただくとなおよいと思います。
生前贈与をして対策
相続に先んじて贈与をしておけば、確実に特定の財産を特定の人物に与えることができます。これは「生前贈与」と呼ばれます。
ただし生前贈与の額が大きすぎると贈与税が課税されてしまいかえって受贈者に負担を課すことにもなりかねませんので、どの財産をどの程度贈与するのかはよく検討する必要があるでしょう。
メリット2:財産の効果的な運用
相続対策を行うことによるメリットの2つ目として、「財産の効果的な運用ができる」ということも挙げられます。
例えば投資用の株式や不動産を所有している場合、その財産を単に相続したのでは相続人が上手く扱えない可能性もあります。
その時点で財産としての価値が高くても、上手く資産運用できなければその価値が薄れてしまうものもあります。
資産運用に適した人物を指定して贈与しておいたり遺言書で指定したりする方法もありますし、次項で説明する家族信託を利用する方法もあります。
家族信託契約で対策
家族信託は相続対策として有効な手段です。特に投資用の財産などがある場合、ただ財産を管理して散逸してしまわないように保護するだけでなく、適切な運用ができなければなりません。 家族信託の契約を結ぶことで、生前から受託者として指定した家族に所有権を移すとともに、委託者が生きている間はその資産運用による利益を受けるように設定することも可能です。
メリット3:相続税の節税
相続対策をすることで節税にも繋げられます。
方法としては大きく「課税財産を少なくすること」と「財産の評価額を下げること」の2つが挙げられます。
課税財産を少なくして対策
相続財産が少ないほど当然課税財産は少なくなります。 とはいえ、財産をむだに捨てるわけにもいきません。そこで有効なのが生前贈与です。
相続開始前に財産を渡しておけば、その財産は相続により取得する財産ではなくなるため、相続税は基本的に課税されません。 ただ、贈与税が課税されるため、相続税と贈与税のバランスをよく考えて贈与を行わなければなりません。 もっとも基本的な手法が“年間110万円以下で贈与すること”です。
この額以内にしておけば贈与税を納める必要はありません。 なお相続や遺言で財産を取得した方が被相続人から贈与により取得した相続開始前3年以内の財産は、相続税の計算に含められてしまうため要注意です。 ※令和5年度税制改正により令和13年1月1日以降の相続から現行3年の加算期間が7年に延長されます。(令和9年1月1日からの相続より徐々に加算期間が延長される等の経過措置あり) “課税財産から非課税財産に変化させる”のも一手です。例えば将来相続財産になると思われる現金や預貯金を使って生命保険料を納め、その契約に基づいて当人の死後、保険金を受け取るという方法です。このときの保険金は純粋な相続財産ではないものの税制上相続税の対象となります。ただ、非課税限度額というものが設けられており、500万円に法定相続人を乗じた額までなら非課税になります。 そのため生命保険を利用して節税を図ることも可能です。
財産の評価額を下げて対策
財産の評価額、つまり価値を下げることで節税対策にもできます。 よく挙げられるのは、不動産を使う例です。
例えば宅地の場合、評価額はその面積と「路線価」で定まります。ただし路線価は近辺の土地とある程度画一的な取扱いをされています。そのため本当の評価額を算定するには当該宅地の現地調査が必要です。調査によりマイナスの要因を見つけることができれば、評価減につなげることが可能です。
そのほか、相続対策により、評価方法の工夫等を行うことで評価額を下げられるケースがあります。
メリット4:納税資金を備えられる
相続税の納税が避けられない場合、その負担は相続人が負います。取得した財産より大きな納税額となることはないのですが、取得財産が換金できるようなものでない場合、現金の負担がかかってしまいます。 例えば不動産を取得したとき、数千万円もの財産を得たことになるかもしれませんが、実際に数千万円が使えるわけではありません。しかしながらそれ相応の税負担はしなければなりません。
現金を用意していない方だと、物件を手放さざるを得ないこともあるでしょう。 そこで相続対策として納税資金の備えをしておくことが重要です。
相続財産の現金化で対策
納税資金の備えとして、ある程度現預金や生命保険等の金融資産として残しておくと良いです。 貴金属や不動産などがある場合、相続人らがそれらを売却して現金化するには時間がかかります。相続税の納税には期限がありますので、間に合わないおそれもあります。
また、希望通りの金額が得られるとも限りません。 これに対して被相続人となる方が生前に生命保険や現金化しておけば、時間的にも余裕が持てますし、予想外に現金の準備が進まないといった事態を避けやすくなります。
資格者紹介Staff
税理士古野孝行
一般家庭から億を超える相続まで、広く対応が可能です。複雑な相続や、難しい土地の評価なども、安心してお任せください。
当事務所の税理士は、独立前から一貫して相続案件に注力しており、一般家庭から20億円規模の相続まで、累計で120件超の対応実績があります。専門性の高さと土地の評価には特に自信があり、その実力は他の専門家から相談を受けるほどです。若手税理士ですので、相続対策や相続発生時のみならず、その次の代までサポートできるのも強みの一つです。お困りの際はお気軽にご相談ください。
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税理士(東京税理士会 登録番号111177) 宅地建物取引士 日本商工会議所主催 簿記検定1級 財務金融アドバイザー (登録番号tky111177000) |
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