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「数次相続」とは、遺産分割が完了しないまま始まってしまった次の相続のことを指します。遺産分割協議が十分に進んでいない状況で1人の相続人が亡くなってしまうと財産関係が複雑になってしまいますし、短期間のうちに二度の課税をされることから税負担が割合増してしまうという問題も起こってしまいます。
こういった数次相続によって引き起こされる問題等をここで解説します。
父と母、長男と長女からなる4人家族がいたとしましょう。
もし父が亡くなって相続(次に起こる相続との関係上「一次相続」と呼ばれる)が開始されると、相続関係は次のようになります。
《 一次相続における関係者 》
そして父が所有していた財産については遺産分割の対象となり相続人らで分け合いますが、その話し合いの途中で母が亡くなる可能性もゼロではありません。すると次のように二次相続が開始されます。
《 二次相続における関係者 》
このときの二次相続では、母が所有していた財産が遺産分割の対象となるのですが、父を被相続人とする一次相続の遺産分割が完了していないため、母の所有財産がはっきりしません。
なお、ここで示したのはあくまで一例であって、一次相続や二次相続で亡くなったのが別の方だとしても数次相続は起こり得ます。
数次相続では「遺産の所有関係が複雑になる」ということ、そして「相続税の負担が大きくなりやすい」という影響が出ます。
数次相続によって「親族間で今誰が何を所有しているのかよくわからない」という問題が起こり得ます。毎回の相続をきちんと処理していなければ数次相続が重ねて起こり、さらに財産関係が複雑化。ある不動産について調べてみると10人を超える関係者が出てくることもあります。
関係者が広がれば広がるほど状況を是正するのも大変になります。
上で示した例のように関係性の近い者同士しかいないのならすぐに話し合うことができますし調整もまだやりやすいです。
しかし、ほとんど接点のない親族が登場してくると話し合うのも簡単ではなくなり、意見の対立が起こるリスクも高まってしまいます。
数次相続、それも短期間で二次相続が起こったときは、同じ財産に二度も相続税が課税されることとなり税負担が大きくなりやすいです。
また、二次相続において使える基礎控除は一次相続よりも小さくなるケースが多いため、その意味でも税負担が大きくなりやすいと説明できます。
※基礎控除額は「3,000万円+600万円×法定相続人の数」で計算するため、配偶者と子2人が相続人となる一次相続なら4,800万円が適用可能。しかし配偶者が亡くなったときの二次相続では法定相続人が1人少なくなり、600万円の課税財産が増えることとなる。
なお、一次相続における相続税の申告義務も残るため注意が必要です。
二次相続の被相続人が相続税の申告をしないまま亡くなったときは、二次相続の相続人がその義務を引き継いで税務署に申告書を提出しましょう。
※このときの申告期間については延長が可能。
短期間のうちに起こる数次相続では税負担が大きくなりやすいと説明しましたが、その期間が10年未満であれば「相次相続控除」が使えますので税額を計算するときは覚えておいてください。
相次相続控除を簡単に説明すると、「一次相続から10年経たずに開始された二次相続であれば、その期間に応じた税額控除ができる仕組み」といえます。短期的に課税されるほど控除額は大きくなり、10年の経過で控除額はゼロとなります。
相続人以外でも、遺言書に財産を譲る旨の記載があれば相続財産を受け取ることはできます。
その受遺者についても相続税の負担を負いますので、大きな財産を受け取っているのなら相続人でなくとも税金を納めなければいけません。
そしてこのときの受遺者は相次相続控除が使えません。相次相続控除の適用を受けられるのは相続人に限られているためです。
相次相続控除の額は、各相続における遺産の総額や、一次相続における相続税額、そして二次相続開始までの年数などを用いて計算します。
算式は複雑ですが、納めるべき相続税額の100%~10%まで10段階で控除できるイメージで考えると良いでしょう。
税額控除前の金額が200万円だとすれば、1年未満に発生した相続で100%の200万円の控除、1年後で90%の180万円の控除・・・9年後で10%の20万円の控除、といった具合に控除額が逓減されていきます。
ただし1年未満に数次相続が起こっても算出税額の満額を常に控除できるとは限りません。
正しい控除額を調べるときは税理士に相談することをおすすめします。
税理士古野孝行
一般家庭から億を超える相続まで、広く対応が可能です。複雑な相続や、難しい土地の評価なども、安心してお任せください。
当事務所の税理士は、独立前から一貫して相続案件に注力しており、一般家庭から20億円規模の相続まで、累計で120件超の対応実績があります。専門性の高さと土地の評価には特に自信があり、その実力は他の専門家から相談を受けるほどです。若手税理士ですので、相続対策や相続発生時のみならず、その次の代までサポートできるのも強みの一つです。お困りの際はお気軽にご相談ください。
保有資格 |
税理士(東京税理士会 登録番号111177) 宅地建物取引士 日本商工会議所主催 簿記検定1級 財務金融アドバイザー (登録番号tky111177000) |
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