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「特別受益」は、相続人の間の公平性を保つため法律上設けられている重要な概念です。相続時に財産を取得していなくても相続分に影響を与えることになるため、被相続人および相続人となる方はこの概念について前もって理解をしておくことが望ましいでしょう。
そこで当記事では特別受益に該当し得る行為の例を紹介し、また、特別受益の存在が相続税にどのような影響を与えるのかという点についても言及していきます。
特別受益とは、被相続人(亡くなった人)が生前に特定の相続人に対して行った特別な利益供与を指しています。具体的には、以下の3つの形態に分類されます。
この制度の目的は、共同相続人間の公平性を確保することにあります。生前、被相続人が特定の相続人に多くの財産を与えていた場合、それを考慮せずに相続分を決めると、相続人間で不公平が生じる可能性があるためです。
そこで特別受益があった場合、法定相続分を次のように調整すると法律上定められています。
こうすることで実質的に公平な相続財産の分配が行われ、相続人間の衡平が保たれます。
遺贈が特別受益にあたることは明確ですが、そのほかの財産の譲与に関しては線引きが明確ではありません。相続分の前渡しと言って差し支えないレベルの高額の贈与だと特別受益に該当する可能性が高いですが、それも贈与者の財産状況によって判断が分かれるため一概にはいえません。
一般的な傾向としては、次のようなケースで特別受益に該当します。
特定の相続人だけがこのような恩恵を受けていると、ほかの相続人に不満が募り、相続時に特別受益の存在について主張を受けることになるかもしれません。
特別受益は法定相続分に直接的な影響を与えますが、相続税の計算上は「持戻し」が行われません。特別受益は民法上の概念であり相続人間の公平性を確保するために用いられますが、相続税では納税者間の公平性を重視しているためです。
そこでもし1,000万円相当の特別受益が認められる場合、その特別受益を受けた相続人は法定相続分の計算上すでに1,000万円取得したものとして扱われますが、その1,000万円に対して相続税の課税はありません。
ただ、これとは反対に、法定相続分には影響しないものの相続税の計算上のみ過去の贈与分を相続財産として扱う仕組みがありますので要注意です。生前贈与加算と呼ばれ、相続開始前一定期間内の贈与財産については相続財産に加算しないといけません。
生前から特別受益という概念を理解したうえで贈与を実行すれば、相続時に想定外のトラブルを生むリスクを下げられます。被相続人となる贈与者の立場からは、以下の点に注意しましょう。
まずは「贈与の記録を適切に残すこと」です。
贈与の日付、金額、目的を明確に記録した贈与契約書を作成しておくことで、相続時に特別受益の有無や金額について争いが生じるリスクを軽減できます。
次に「相続人間の公平性に配慮すること」にも注意してください。
特定の相続人にのみ多額の贈与を行うと、ほかの相続人との間で摩擦が生じやすいです。そこで贈与を行う際はほかの相続人への影響も考慮し、必要に応じて説明をしておき納得を得ておくことが望ましいでしょう。普段から家族・親族とのコミュニケーションを大切にし、贈与や相続に関する方針を共有しておくことが紛争回避につながります。
また「持戻し免除の意思表示」についても検討してください。
特定の贈与が特別受益となることを防ぐには、遺言書などで明確に「この贈与については持戻しの処理を行わない」旨を記載しておくことが有効です。これにより将来の相続における取り扱いを明確にできます。
特別受益に関して、相続人の立場から注意しておきたい点はこちらです。
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税理士古野孝行
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