相続税対策の要点|節税対策と納税資金対策について解説
納付額を下げることはもちろん、納税資金の確保も相続税対策として重要なことです。そこで当記事では節税対策の基本的な手法と、納税資金対策として有効な手法をまとめました。
基本的な節税対策
まず納めるべき相続税の金額を下げる方法についてですが、目指す方向性としては①課税対象の遺産を減らす、②遺産の相続税評価額を下げる、の2つがあります。
①の遺産を減らすという観点からは「生前贈与」が有効です。先に財産を与えておくことでその分遺産を減らし、相続税の課税対象を少なくすることができます。
このとき、贈与税の負担をどうやって下げるかがポイントとなります。年間110万円の基礎控除が適用できますので、その範囲内であれば計画的に贈与を繰り返して非課税で財産を移転できますし、特例により大金を一括贈与しても一定額まで非課税にできるケースもあります。ただし特例を利用するには手続が必要ですし、いくつか要件を満たさないといけません。
生命保険契約を有効活用して節税効果を得ることもできます。保険料を納めることで将来的に遺産となる現金・預金を減らすことができますし、相続開始時に保険金を受け取ってもらうこともできます。しかも、生命保険金には法定相続人1人あたり500万円の非課税枠が設けられています。
②の評価額を下げるという観点からは「不動産の購入」が有効です。1億円の現金と1億円で購入した不動産では相続税評価額に大きな差が生じます。不動産に形を変えるとその時点で購入価格から数割程度下がった評価額となりますし、土地を購入したときは小規模宅地等の特例により大幅に評価額を下げられる可能性もあります。
相続における納税資金の重要性
相続税の計算過程では税率を乗じます。税率は高くても55%で、最低だと10%です。当然ですが100%を超える税率が適用されることはないため、「資産を取得したらそれ以上の相続税が課せられて損失が出た」という状況は起こりません。
ただ、「支払わないといけない現金の用意が難しい」という点で困ることはあります。
例えば唯一の遺産である10億円相当の土地を取得して相続税が5億円発生したとしましょう。相続税を考慮しても全体として5億円の経済的利益を得たことになります。しかし相続人は現金を手に入れていないことから、元々持っていた個人的な財産から5億円を支払わないといけませんので、よほどの資産家でなければこの負担に耐えることはできません。
納税資金が確保できない場合、結局遺産を売却しないといけなくなり、「思い入れのある財産を手放さないといけない」「売却手続に手間や時間がかかる」といった問題にも直面します。
納税資金対策の具体的な手法
納税資金が不足してしまう問題を防ぐには、生前からの準備が特に大事です。できるだけ被相続人となる方が相続人のために備えておくようにしましょう。
不動産を賃貸物件として活用する
不動産を購入せず現金で残しておけば納税資金対策としては十分有効ですが、節税効果は得られません。
そこで節税対策と納税資金対策を両立する手段として「賃貸物件の活用」について知っておきましょう。
現金を使って不動産を購入しその後当該物件を賃貸に出せば、そこから収入が発生し、現金が増えていきます。増えた現金には相続税が課税されますが、それ以上に初期投資にかかる費用は大きいですし、賃貸に出されている不動産はさらに評価額を下げることができます。
そして賃貸物件をそのまま取得してもらうことで、相続人の経済力も高まります。
生命保険金の受取人になってもらう
生命保険は、節税対策としても納税資金対策としても効果を発揮します。
法定相続人の数に応じて非課税で受け取ってもらうことができますし、受け取った金銭はそのまま納税資金として活用することができます。
配偶者居住権の設定
事前に納税資金対策が取られていないときでも、できることはいくつかあります。配偶者に関しては「配偶者居住権の設定」によって自宅と納税資金を確保することができます。
配偶者居住権とは被相続人が所有者となっていた自宅に配偶者が住み続ける権利のことであり、「自宅の所有権ではなく居住権のみを取得することで預金等の取得もできるようにする」ことを目的に設けられた権利です。
例えば評価額1,000万円の不動産に対して居住権600万円、所有権400万円の評価額となる場合、そのまま1,000万円を取得する場合に比べて400万円分別の財産を確保することができます。納税資金を準備する必要があるなら、その分現金や預金を取得すれば良いのです。
遺産分割協議で設定することもできますし、遺贈してもらうこともできます。また、家庭裁判所の審判により設定してもらうことも可能です。
延納の申請をする
どうしても相続税の納税資金が準備できない場合、延納を求めるための手続を行いましょう。何も手続をせず「無申告で放置する」「期限が来ても相続税を納めない」といった対応は避けるべきです。
相続税額が10万円を超えて、金銭での納付が困難な事情があるときは、申請によって年払いとすることも認められています。ただし延滞税・利子税に相当する担保を提供することも必要です。
ただ、できれば延納にもならないよう対処したいところですので、早めに税理士に相談して対策を考えてもらうようにしましょう。
資格者紹介Staff
税理士古野孝行
一般家庭から億を超える相続まで、広く対応が可能です。複雑な相続や、難しい土地の評価なども、安心してお任せください。
当事務所の税理士は、独立前から一貫して相続案件に注力しており、一般家庭から20億円規模の相続まで、累計で120件超の対応実績があります。専門性の高さと土地の評価には特に自信があり、その実力は他の専門家から相談を受けるほどです。若手税理士ですので、相続対策や相続発生時のみならず、その次の代までサポートできるのも強みの一つです。お困りの際はお気軽にご相談ください。
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税理士(東京税理士会 登録番号111177) 宅地建物取引士 日本商工会議所主催 簿記検定1級 財務金融アドバイザー (登録番号tky111177000) |
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