相続税における追徴課税の種類|過少申告加算税や延滞税など
相続税の申告で注意しておきたいのが「追徴課税」です。申告漏れや財産を隠すなどの悪質な行為があったときは本来の相続税より大きな税金の負担を負わないといけなくなります。
ここで追徴課税の種類とそれぞれの重さ、税率について解説しますので、正しく申告できないことのリスクを把握しておきましょう。
過少申告加算税について
本来申告すべき内容とずれがあり、納めるべき相続税が少なく申告されていたときに「過少申告加算税」が徴収されます。
悪意をもって財産を隠していた場合に限らず課税されますので、要注意です。
例えば認識できていなかった財産があり、それを申告できていなかった場合などです。住所地から離れた場所にある不動産、ネット銀行の口座にある残高、生命保険、暗号資産などは確認漏れが起こりやすいため、事前の遺産調査は入念に進めなくてはなりません。
また、財産評価が誤っており過少申告をしてしまうケースもあります。不動産や株式などの相続税評価額を計算するのは簡単ではありませんので、税理士に依頼せず対応しているとミスが含まれる可能性は高くなります。
なお、過少申告加算税の税率は次の通りです。
| 税務調査前の申告 | 税務調査後の申告 |
---|---|---|
税額50万円以下の部分への適用 | 5% | 10% |
税額50万円超の部分への適用 | 10% | 15% |
追加で納めるべき相続税が少額であって、税務調査での指摘を受ける前に自らミスに気付くことができれば、加算税として適用される税率は「5%」に抑えることができます。しかし納付すべき税額が50万円を大きく超えていて、税務調査まで何ら対応をしなかったときは「10~15%」が適用されてしまいます。
相続税額が大きい方ほど、早めに修正の申告を行うことが重要になってきます。
無申告加算税について
申告自体を行っていないときは「無申告加算税」が適用されてさらに大きな税負担を負うことになってしまいます。
「相続税の仕組みについて知らなかった」「申告期限があることを知らなかった」という事情があっても責任を免れることはできません。
無申告加算税は過少申告加算税よりも税率が高く設定されていますし、その税率が適用される本税の部分も大きくなりやすいです。そのため加算税の額も大幅に大きくなる可能性があります。
| 税務署の指摘前 | 税務調査前 | 税務調査後 |
---|---|---|---|
税額50万円以下の部分への適用 | 5% | 10% | 15% |
税額50万円超~ | 15% | 20% | |
300万円超の部分への適用 | 25% | 30% |
無申告加算税の税率も税務調査前後で異なります。そして同時期での申告でも、税額の大きさに対応して3段階の税率が設定されています。
税務調査前であって税額50万円以下であれば「10%」の適用で済みますが、税務調査後、300万円を超える部分に関しては最大の「30%」もの税率が適用されてしまいます。
ただし、税務署からの指摘を受けることなく自ら申告の必要性について気付くことができ、申告義務を果たせば、税額問わず一律「5%」の税率を適用されるだけで済みます。事後的にでも無申告であることを認識できたなら、早めに申告をするようにしましょう。
重加算税について
相続税の義務を不当・違法に免れようと、わざと相続財産を隠したり架空の債務を作出したりした場合には「重加算税」が課されます。
過失による申告漏れなどとは事情が大きく異なりますので、この場合はもっとも重い税率が適用されます。
| 過少申告の場合 | 無申告の場合 |
---|---|---|
重加算税の税率 | 35% | 40% |
重加算税が課されるべき事情があって、その結果、過少申告をしていたのなら「35%」。無申告であったのなら「40%」が適用されます。
延滞税について
上記の①過少申告加算税、②無申告加算税、③重加算税は、いずれも「加算税」と呼ばれるもので申告義務を適切に果たさなかった行為・事実へのペナルティとしての意味合いを持っています。
これとは別に「延滞税」も課されることに留意しましょう。
加算税とは別物で、本来納めるべきであった期限に間に合わなかったことを理由とするペナルティです。加算税自体に延滞税は発生しませんが、期限から遅れるほど、本来の相続税に対して大きな延滞税の負担がかかってきます。
延滞税の税率は次の通りです。
| いずれかの低い利率が適用される | |
---|---|---|
納付期限から2ヶ月以内の場合 | 年7.3% | 特例基準割合※+1% ※2022年1月1日以降は2.4% |
納付期限から2ヶ月を過ぎた場合 | 年14.6% | 特例基準割合※+7.3% ※2022年1月1日以降は8.7% |
法律上は「年7.3%」や「年14.6%」の適用が予定されていますが、「特例基準割合」と呼ばれる割合を用いて利率を定めることもあります。例えば、2024年時点だと納付期限から2ヶ月以内であれば年7.3%ではなく特例基準割合を用いた「3.4%」が適用されることになります。
資格者紹介Staff
税理士古野孝行
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