不動産相続手続きの種類と流れ!相続開始後にすることと準備すべき必要書類
相続が開始されると、亡くなった方の持っていた様々な財産が遺産として相続人等に引き継がれます。
遺産には預貯金や自動車、その他多種多様なものが含まれますが、価値が特に大きなものとしては不動産が挙げられます。土地や建物などのことです。
しかし、不動産相続は日常的に経験するものではありませんし、どのように対応すれば良いのか分からない方がほとんどかと思います。
そこでこの記事では、不動産相続の手続の種類やその流れ、そして準備しなければならない必要書類についても解説していきます。
相続開始後最初にすること
相続は、誰かが亡くなることにより始まります。 そのため不動産の引継ぎに関しては、手続きに入る前に、亡くなった事実について届出を行わなければなりません。亡くなってから7日以内に死亡届を市区町村役場に提出しましょう。
また、遺言の有無の確認も非常に大事です。
遺言があるかどうかでその後の財産の行方が大きく変わってくるからです。そもそも遺産は被相続人のものですので、その本人の意思が尊重されます。
よって、仮に被相続人である親が土地を持っており、自分がその土地を欲しいと考えていてもその希望通りにいくとは限りません。
遺言によって土地を譲り受ける者が決められているかもしれないからです。
さらに、相続人の調査も行いましょう。自分が認識している以上に相続人が出てきても、やはり思い通りの遺産相続ができません。
せっかく遺産分割の協議をしたとしてもやり直しになる可能性があります。
そのため遺言や相続人など、事前の調査をしっかりと行うようにしましょう。
不動産の分配をする
相続人が確定し、遺言もなければ、不動産の分配について話し合いを進めていきましょう。
不動産においては特に分け方が重要です。現金の分配であれば比較的簡単ですが、土地や建物に関しては、綺麗に、平等に分けることが難しいです。
そもそも当該土地の価値が現金のようにパッと見てわかるものではありませんし、価値がわかったとしても単純に面積で分ければ良いということでもありません。ひとまとまりの物件として譲り受けること自体に大きな意味があるケースもあります。
遺産分割の方法
不動産に関しては遺産分割が容易ではなく、分け方も大きく4種に分かれます。
- 現物分割
- 代償分割
- 換価分割
- 共有
「現物分割」は比較的単純な分け方です。仮に相続人が2人で、1:1に分けるのであれば、土地を半分に分けることで現物分割とすることも可能です。ただし、分割後の利用に支障をきたすようであれば避けるべきでしょう。特に狭い土地では別の方法も検討することになります。
「代償分割」とは、誰かが不動産を丸々譲り受け、他の者に対して金銭で支払うというやり方です。例えば不動産に1,000万円の価値があり1:1で遺産分割するとした場合、一方が不動産を受け取るならその代わりに500万円を支払うといった対応になります。不動産を細かく分けていたのでは本来の利用価値を下げてしまうといった事情がある場合には有効です。
しかしながら、不動産を引き継いだ者は現金が受け取れるわけではありませんので、現金の支払いに関して大きな負担がかかる難点はあります。
「換価分割」とは、不動産を売却して得た代金を分割するという方法です。不動産そのものを誰も目当てにしていないケースで有効です。
分割の難しい物件でも現金化することできれいに分けられます。
ただ、相続人全員が納得しなければなりませんし、思い入れある建物を残したいという場合にはこの方法を採ることは難しいでしょう。
「共有」は現物分割とも似ていますが、こちらは分けた不動産をそれぞれ独立して所有するのではなく、一緒に所有するケースをいいます。
この場合、相続人間の関係性が良好であれば検討の余地がありますが、その後揉めるリスクも生じます。
そのため本当に共有としての形で良いのか、吟味してから決断しなければなりません。
土地を相続する場合
不動産のうち、土地を相続する場合の注意点を見ていきましょう。 土地のみの相続であれば比較的シンプルです。 現物分割する場合でも分けやすく、基本的に各々の同意さえあれば相続はスムーズに進められます。 ただ、土地をいったん相続すると、その後の変更は非常に難しいです。
また、土地の価格変動は激しいため、その後の事情によっては、一方の土地の価値が高く、他方の土地の価値が低くなるなどアンバランスになることも起こりかねません。
代償分割を選択したケースでも、その時点での評価から大きく変動し、土地所有者が大きく損をするあるいは土地所有者が大きく得をする可能性もあります。分割協議においてこの点他の者にも周知させ、納得を得ておくことが大切です。
建物を相続する場合
建物の場合、特に戸建を相続する場合、土地とは異なる考え方をしなければなりません。 土地だけを考えるときのように現物分割をすることは難しいでしょう。一つの大きな土地に複数の建物があれば現物分割をできるかもしれませんが、現実的には別の手段を検討します。
もし、戸建に相続人の一人が住んでいるのなら、代償分割を採用すると良いかもしれません。金銭を支払うだけの資力が必要ですが、そのまま家を残すことができますし、同居していた方もそのまま住み続けることができます。「小規模宅地の特例」により節税も可能です。 換価分割であれば上で述べた通り平等に分けやすいのですが、課税という観点では軽減の特例が使えないというデメリットが大きくなる可能性があります。
共有の場合にも権利関係が複雑化し、さらに共有者間でのトラブルというリスクを伴いますので慎重に考えなくてはなりません。
一方で、戸建ではなくマンションを相続する場合、土地の活用が難しいという特徴があります。区分所有分の土地につき権利は有していますが、戸建のように包括的な土地活用はできません。 また、戸建よりも賃貸物件として活用しやすいという特徴もあります。そのためその一室を自ら使い続けたいという場合でなければ、ニーズがあるうちに借り手を探すという選択肢もあります。空き室の状態で放置してしまうとより劣化が進んでしまいますし、修繕費などもかさんでしまいます。上手く借り手を見つけることができれば所得も得られるようになります。
不動産相続・登記の必要書類を準備して法務局へ提出
相続によってどの物件をどのように分配するとしても、その前提として、相続人全員の戸籍謄本が必要です。
そこで分配方法を決めた後は、以下のような書類を集めましょう。
- 相続人全員の印鑑証明書
- 被相続人の戸籍謄本(出生から死亡までの分)
- 被相続人の住民票の除票(本籍の記載があるもの)
- 遺産分割協議書
また、不動産の相続に関して以下の書類なども必要になります。
- 不動産の登記事項証明書
- 不動産の相続をする者の住民票
- 不動産の固定資産評価証明書
各種必要書類を用意した上で、管轄の法務局にて不動産登記の変更手続きを行います。この際には不動産登記に関わる専用の申請書も作成しておかなければなりません。 なお「何を」「どのように」「誰が相続するのか」という事情によって準備すべき物が変わってきますので注意しましょう。
必要書類が不足していた場合は手続きが止まってしまい、手間も時間もかかってしまいます。
そのため、各種分配の手続きや必要書類の準備に不安があるという場合は専門家のサポートも得るようにしましょう。
また、不動産のように価値の大きな遺産相続に際しては相続税が発生する可能性があります。適法に、トラブルなく分配するだけでなく、余分に税金がかからないようにする工夫も大事です。そこで不動産相続については税理士への相談がおすすめです。
資格者紹介Staff
税理士古野孝行
一般家庭から億を超える相続まで、広く対応が可能です。複雑な相続や、難しい土地の評価なども、安心してお任せください。
当事務所の税理士は、独立前から一貫して相続案件に注力しており、一般家庭から20億円規模の相続まで、累計で120件超の対応実績があります。専門性の高さと土地の評価には特に自信があり、その実力は他の専門家から相談を受けるほどです。若手税理士ですので、相続対策や相続発生時のみならず、その次の代までサポートできるのも強みの一つです。お困りの際はお気軽にご相談ください。
- 相続税申告
- 生前対策
保有資格 |
税理士(東京税理士会 登録番号111177) 宅地建物取引士 日本商工会議所主催 簿記検定1級 財務金融アドバイザー (登録番号tky111177000) |
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