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相続税の申告手続きを自分でするメリット・デメリットまとめ

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相続は誰にでも機会がやってきますが、いつその機会がやってくるのか予期をするのは難しいです。そして相続に際しては「相続税」が問題となるケースがあり、その場合には相続税に関する申告手続きをしなければなりません。一般的には税理士などの専門家に依頼して手続きを行うのですが、自分で手続きを行うことも可能です。

そこで、ここでは専門家のサポートを受けることなく手続きをしようと考えている方に向けて、どのような問題が生じ得るのか、逆にどのような利点があるのか、メリット・デメリットをまとめていきます。

 

相続税の申告手続きが必要なケース

大前提として、相続税の申告手続きが必要ないケースがあることを知っておきましょう。件数としては不要なケースの方が多いです。

なぜなら、相続によって承継された財産の価額が基準額以上にならなければ申告は不要とされており、その基準額は数千万円にも上るからです。

厳密には、各相続人が得た財産価額の合計を「遺産総額」とし、この遺産総額が遺産に係る「基礎控除額」を超えることでようやく申告義務が生じるのです。

ただ、遺産総額を算出するのは容易ではなく、土地や建物、有価証券、保険金など、相続税が課される財産の評価をしなければなりません。また、控除できる債務、相続財産に加算する受贈財産(相続開始前3年以内に受けた贈与)などの足し引きも必要です。

仮にこの基準額を超えた場合、相続人は、相続が開始されたことを知った日の翌日から10ヶ月以内に申告をしなければなりません。なお、小規模宅地等の特例など、各種特例が適用されることで実際には納税をすべき金額が発生しないこともありますが、その場合でも申告自体は必要です。

 

自分で相続税の申告手続きをするメリット

まずは相続人となった本人が自分で相続税の申告手続きを進めるメリットを紹介していきます。

費用が少なくて済む

もっとも大きなメリットは、費用が少なくて済むという点にあるでしょう。税理士など、専門家に相談したり代行を依頼したりすると、費用が発生します。相談の場合は、相談時間に応じて報酬が発生するケースが多いですし、手続きを代行してもらう場合は、必要な手続の数や遺産規模が大きくなるほど支払う報酬も大きくなります。

具体的な料金体系は依頼する税理士によって異なりますが、遺産の大きさに応じて変動することが多いため、遺産が大きいほど費用という面では自分で進めることのメリットは大きくなるでしょう。

 

家庭の事情を話さなくて済む

税理士に依頼する際、財産状況等を把握するために家庭の事情を話すこともあります。もちろん、税理士も不必要に情報を聞きだすことはありませんし、プライバシーにも配慮がなされます。また、税理士には法律で定められた守秘義務もあります。しかし、第三者に事情を話すことに対して抵抗があるという方もいるでしょう。このような方は、自分だけで進めた方が気楽だという意味でメリットがあるといえるでしょう。

 

自分で相続税の申告手続きをするデメリット

自分で手続きを進めることも検討するなら、デメリットに関しても知っておく必要があります。以下のような点で困ることもありますので、自分だけで進めるべきか、よく検討しましょう。

 

手間がかかる

相続にかかる手続きは煩雑で、非常に手間がかかります。手続に慣れていない方だとなおさらです。税理士に依頼することで費用はかかりますが、面倒な作業をする必要がなくなります。この恩恵が得られないのは、大きなデメリットとなります。

 

正確な申告が難しい

どのような形であっても、申告をしさえすれば良いということではありません。

正確な申告・納税をしなければならず、間違った内容で少なめに申告したことによってペナルティを課せられるリスクも生じますし、多めに納税をしてしまい取り戻すことが出来なくなる可能性もあります

税の知識が豊富でなければ適切な財産評価、正確な計算をすることは難しいです。

 

節税が難しい

相続税の節税をするには、幅広い知識を持って対応しなければなりません。多様な控除や特例がありますし、さらにはそれぞれのルールにつき法改正がなされることもあります。常に税制にアンテナを張りこれに追随していなければ、正確な知識を身に付けることは難しいです。

一方、税理士がサポートをしてくれることで節税効果を高められ、今回のみならず次回発生するとみられる二次相続まで含めた節税戦略を練ってもらうこともできます。

 

税務調査を受ける可能性が高くなる

相続税に限った話ではありませんが、税に関する申告ではその後の税務調査も視野に入れることが大切です。調査への対応自体も面倒で負担がかかりますし、細かくチェックされた結果、申告内容にミスが発覚し、ペナルティが課せられる可能性もあります。

どのような場合に税務調査を受けることになるのか、明確に基準は示されていませんが、税理士の有無は税務調査の要否に影響を与えると考えられています。

他にも、相続額が大きな場合などには税務調査を受ける可能性が高まりますが、税理士に依頼しておけばそのときの対応も任せられます。

 

税理士に依頼するなら見るべきポイント

税理士への依頼は義務ではありませんが、ここで説明したように依頼をしないことによるデメリットが大きくなる場合もあります。

ただし、依頼する税理士によっては得られる恩恵も大きさも異なります。相続に強い税理士であるほどスムーズに進められますし、トラブルもなく大きな節税効果も期待できます。

そこで、相続税の申告に関して依頼をしたいのであれば、事務所のWebサイトなどをチェックし、過去の実績を見てみましょう。経験が豊富、もしくは「相続に強い」などと謳っているかどうかもポイントとなってきます。

費用面で不安があるという方は、料金体系も要チェックです。できるだけわかりやすく、明確に金額が定められているかどうかを見てみましょう。不明瞭な要素が多いと、後々報酬に関して揉める可能性があります。

さらに、実際に一度相談をしてみて、自分に合う人かどうか、丁寧な対応をしてくれる人かどうかを見極めるのも大切です。