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家や土地など不動産を所有しているとかかる税金について - 古野孝行税理士事務所

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家の購入、宅地の購入など、不動産を取得するには多くの資金が必要となります。人生の中でも一番大きな買い物と言っても過言ではありません。
そのため物件の内容、ローンの返済なども考慮して、計画的に購入手続を進めることが大切です。
そして経済的負担に関しては、購入費用のみならず、税金に関しても注意が必要です。所有しているだけで発生する税金や、その後の取扱い方法次第で発生する税金もあります。

 

「固定資産税」は毎年納税しなければならない

不動産の所有でかかる税金の代表として「固定資産税」が挙げられます。
固定資産を所有している者に対し、固定資産の価値に応じた税の負担が求められます。

固定資産税の課税対象とされている資産には、①土地・家屋と、②償却資産があります。
①に関しては、1月1日において固定資産課税台帳に登録されているものが対象となり、その時点における所有者が納税者となります。4月~6月頃に各自治体から納付書が送られますので、通知された納税額を納めることになります。
②は、土地や家屋以外であって、事業所にあるパソコン、工場にある機械設備などの資産を指します。家庭用のパソコンなどの電化製品に対する課税はありません。①と違って所有者から償却資産の内容等につき申告をしなければなりません。申告をした内容に基づき役所が税額を計算して①と同様に納付書が送られてきます。

固定資産税の計算方法

土地や家屋の固定資産税を計算する方法について簡単に示します。

 

固定資産税 = 課税標準(固定資産税評価額) × 税率

 

税率は基本的に1.4%が適用されます。
そのため評価額が3,000万円の土地であれば、固定資産税は42万円という計算になります。

ただしここでポイントとなるのが軽減措置です。

 

種別 軽減措置の内容
小規模住宅用地(200㎡以下の部分) 課税標準に1/6を乗じて計算する
一般住宅用地(200㎡超の部分) 課税標準に1/3を乗じて計算する
新築住宅の建物 固定資産税が3~5年1/2に軽減される

 

上記土地が宅地であって面積が200㎡以下であるなら、軽減措置により「評価額3,000万円×1/6×1.4%」で計算することになり、固定資産税は7万円になります。

仮に当該宅地上に新築の家屋(評価額2,000万円)がある場合には、「2,000万円×1.4%×1/2」を計算した14万円が家屋にかかる固定資産税となり、宅地と家屋を所有する人は合計21万円を負担することになります。

なお、この記事で示す内容は税制の基本に過ぎませんので、特例の適否や正確な税額を把握するためには税理士に相談することが大切です。

「都市計画税」も同時に課税されることがある

固定資産税に併せて、「都市計画税」が課税されることもあります。
都市計画に沿った事業遂行に充てる費用として徴収され、具体的には水道や道路、公園などの公共施設の整備、土地区画整理などを行うために使われます。

都市計画税が課税されるのは、土地や家屋等が都市計画区域の市街化区域内にある場合です。600を超える自治体が関与しており、件数だけで言えば日本全体の約1/3のエリアで課税されていることになります。

固定資産税と同様の計算方法に従い、特例措置なども似た形で適用されます。
ただし税率は0.3%を超えてはいけないと定められていますので、納税額は固定資産税より小さくなります。

 

「登録免許税」は抵当権の設定などで必要になる

所有しているだけで発生する税金ではありませんが、所有している不動産に対して抵当権を設定するときには「登録免許税」を納めることになります。

抵当権は住宅ローンを組むときなどに設定するもので、家屋や宅地を担保とする行為を指します。多くの方が住宅ローンを組んで自宅を購入していますが、その際お金を貸す金融機関は、債務者である不動産の購入者がローンの支払いをできなくなった場合に大きなリスクを負うこととなります。
そこで債権の回収ができなくなる事態を避けるため、不動産に抵当権を設定するよう求められます。ローンの返済ができなくなったときには家などを競売にかけて代価が得られるようにしておくのです。

その抵当権の設定をするにあたり「抵当権設定登記」を行います。
登録免許税はこの登記の際に負担する税金であり、抵当権の設定以外にも、不動産を取得したときの「所有権移転登記」や「保存登記」などでも負担することになります。

登録免許税の計算は次のように行います。

 

登録免許税 = 課税標準額 × 税率

 

そして抵当権設定登記における課税標準は債権金額、税率は原則として0.4%です。
つまり、借入額が4,000万円であるなら、登録免許税は16万円となります。
※軽減税率が適用されるケースもあり

 

「相続税」は相続で取得した人が負担する

家や土地を持ち続けた場合、最終的に所有者が亡くなることで、相続が行われます。
亡くなった方の配偶者や子などが不動産を取得することになるのですが、その際、「相続税」が課税されます。

相続財産の合計が基礎控除額(法定相続人1人なら3,600万円)以下だと非課税となりますが、不動産が相続対象となる場合にはその基準額を超えて課税される可能性は高くなります。

そこで家と土地につき評価方法を知っておく必要があります。

家に関しては比較的簡単に計算ができます。
固定資産税評価額をそのまま家の評価額として考えることができますので、固定資産税評価額1,500万円の家なら評価額も1,500万円です。

これに対して土地の評価は少し複雑です。
2つのパターンがあり、路線価と呼ばれる土地1㎡あたりの価額が付けられている場合には「路線価方式」に従い計算を行うことになります。路線価に土地面積と補正率を乗じることで評価額が算出されます。
一方、路線価が付けられていない土地の場合には「倍率方式」に従い計算を行います。固定資産税評価額に対して地価事情に対応する倍率を乗じることで評価額が算出されます。

相続税に関しては元々所有していた人ではなく、取得した人が負担しなければなりませんので、不動産の所有をするにあたり考慮する必要はないように思えるかもしれません。しかし家族等が税の負担をすることになるため、生前に税理士に相談するなどして税金対策を取っておくことが望ましいでしょう。