不動産を相続した場合の相続税はどうやって計算する? 宅地や建物の評価が重要
納税すべき相続税額を把握するには、遺産の内容に着目し、その価額を計算しなければなりません。そしてこのとき財産の中に不動産が含まれると計算が複雑になってしまい、簡単には納税額が算出できません。不動産である宅地(土地)や建物に関して評価をする必要があるからです。
そこでこの記事では、基本的な相続税の計算方法を紹介し、相続税算出のために重要となる不動産の評価方法について解説していきます。
相続税を計算する基本的な流れ
相続税の計算は多段階的に計算を行い、その過程では税率など様々な値をあてはめていかなければなりません。 まずは「課税の対象となる遺産がどれだけあるのか」を計算し、そこから「各相続人個別の納税額」を計算していきます。 亡くなった方から取得した遺産の価額を計算した段階で、その合計額が基礎控除額を超えていないのであれば納税をする必要はなくなります。相続税申告の手続きも行う必要がありません。
課税遺産総額の計算にて宅地・建物の評価が必要
上述の通り「課税遺産総額」が基礎控除額を超えないのであれば各相続人個別の事情を考慮するまでもなく納税の必要がなくなりますので、まずは課税対象となる遺産総額を計算します。 そこで相続・遺贈により得た財産の価額(遺産総額)と相続時精算課税の適用を受ける財産の価額を合計しますが、この時点で、宅地や建物の評価が必要になります。
なお、「相続時精算課税」とは、生前に贈与した財産を相続財産に含めて相続税を計算し、すでに支払った贈与税額を控除するという贈与の制度です。 それから債務・葬式費用・非課税財産などを差し引き、さらに相続開始前3年以内の(暦年課税に係る)贈与財産の価額を足し、正味の遺産額を算出。ここから基礎控除額を差し引けば「課税遺産総額」が導き出せます。
課税遺産総額から個別の納税額を計算
上の計算から申告が必要なものとわかれば、次に個別の納税額を算出していきます。 まずは課税遺産総額に対し法定相続分に従って相続したと仮定し、その「仮定の下で相続することになる価額」に対応する税率を判定します。これを適用させ法定相続人別の税額を出し、それらの税額を合計することで「相続税の総額」が計算されます。 いったん、実際に相続した割合とは関係なく、法定相続分に従った法定相続人の税額を計算するのがポイントです。 実際に相続した割合が適用されるのはその後です。
「相続税の総額」を実際の取得割合で按分し、個別に利用できる控除などを適用させ、各々が納税すべき相続税を導き出します。
宅地・建物の評価をする方法
以上が基本的な計算の流れですが、その最初のステップで不動産など財産の評価を行わなければなりません。
建物や宅地は以下の評価方法に従って価額を計算することになります。
建物について
建物に関しては、「固定資産税評価額」によって評価されます。 固定資産税評価額については都税事務所や市区役所、町村役場などで確認ができます。
宅地について
問題は宅地の評価です。 宅地の場合、「路線価方式」または「倍率方式」によって評価することになります。
路線価方式は、道路に面している標準的な宅地1㎡当たりの価額(これを「路線価」という)を基準に計算する方式のことです。
例えば「路線価30万円」「奥行価格補正率1.00」、横幅10m・奥行18m180㎡の宅地があるとします。この場合、以下の計算式を使って評価額を算出します。
30万円(路線価)×1.00(補正率)×180(面積)=5,400万円(評価額)
当然ながら、路線価が大きいほど、宅地の面積が大きいほど、評価額も大きくなります。 なお、補正率は間口や奥行き、宅地の形状などにより計算されます。 倍率方式は路線価が定められていないエリアで採用される評価方式です。 固定資産税評価額を用い、これに「一定の倍率」を掛けることにより評価を行います。 なお、「路線価」や「倍率」に関しては国税庁のホームページから閲覧が可能です。
評価額を下げるには「小規模住宅地等の特例」が重要
宅地は評価額が数千万円に上ることも多い価値の大きな財産です。 そのため相続税額を決める要因として重要度が高く、できるだけ納税額を下げるのであれば宅地の評価に関する工夫を施すことが大切なのです。 そこで見逃せないのが「小規模住宅地等の特例」です。
被相続人と同居していたなど、一定の関係性にある親族などが宅地を取得する場合において、大幅な減額がしてもらえるという内容の特例です。
最大80%の減額率が適用される
要件を満たせば、被相続人が事業や住まいとして使っていた宅地に関して、一定面積内で以下のように減額率を適用して評価することが認められます。
- 居住用・事業用で一定の要件を満たすもの:減額率80%
- 貸付用で一定の要件を満たすもの :減額率50%
事業用の宅地であれば「400㎡」まで、居住用の宅地であれば「330㎡」まで、貸付用の土地であれば「200㎡」までが限度になるのですが、最大80%もの減額をしてもらえます。そのためこの特例を利用できるかどうかが非常に重要なのです。
しかしながら、この特例を利用するための要件は細かく指定されており複雑であるため、税理士等の専門家へご相談いただくことをお勧めいたします。
資格者紹介Staff
税理士古野孝行
一般家庭から億を超える相続まで、広く対応が可能です。複雑な相続や、難しい土地の評価なども、安心してお任せください。
当事務所の税理士は、独立前から一貫して相続案件に注力しており、一般家庭から20億円規模の相続まで、累計で120件超の対応実績があります。専門性の高さと土地の評価には特に自信があり、その実力は他の専門家から相談を受けるほどです。若手税理士ですので、相続対策や相続発生時のみならず、その次の代までサポートできるのも強みの一つです。お困りの際はお気軽にご相談ください。
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保有資格 |
税理士(東京税理士会 登録番号111177) 宅地建物取引士 日本商工会議所主催 簿記検定1級 財務金融アドバイザー (登録番号tky111177000) |
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