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相続が発生すると、遺産の引き継ぎとともに相続税の納付義務も生じる場合があります。原則として相続開始(被相続人の死亡)を知った日の翌日から10ヶ月以内に申告・納付しなければなりませんが、現金が十分にないケースも少なくありません。このような場合どう対処すればいいのか、この悩みを解決するための手法をここで紹介します。
相続税は現金による一括納付が原則です。しかし、不動産など換金のしにくい財産を多く相続した場合、多くの資産は得ているものの納税資金が捻出できず困ることもあります。
その結果相続税を期限内に納付できないと、延滞税が発生してさらに負担が増大していき、最悪の場合財産が差し押さえられることもあります。
※相続税の納税義務の有無 |
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相続税は遺産を相続した相続人や遺言により遺産を受け取った人に課税されるが、遺産の総額(資産から負債を引いた額)が基礎控除額(3,000万円+600万円×法定相続人の数)を超えなければ非課税で取得できる。 この場合は現金化が難しくても納税に困ることはない。実際、相続件数に対して課税される割合は1割程度である。 |
相続税の納付が難しいときは以下の対処法を検討しましょう。
各対処法の詳細もご確認ください。
まだ遺産分割前であるなら、分割方法を工夫して現金預金など納税資金として使えるものを割合多く取得しておきましょう。
そのために相続人間で話し合い、納付が難しいと思われる方が現金・預金を取得できるような分割方法を提案します。たとえば不動産だけ何件も取得するのではなく、「不動産の合計取得価額を抑えてその分空いた法定相続分で現金を取得する」といった方法です。
ほかにも、比較的換金がしやすい上場株式などで調整するのも良いでしょう。
しかしながら、遺産分割協議は相続人ら全員の合意がなければ成立しませんので、よくコミュニケーションを取って納得が得られるように話し合わなければなりません。
相続した不動産や有価証券などを売却して、現金化することも対処法の1つです。
ただし、不動産を売却する場合には以下の点に注意してください。
素早く現金化するのであれば、不動産業者に「仲介」をしてもらうのではなく「買取」をしてもらうと良いです。売却価格がいくらか相場より小さくなる傾向がありますが、スムーズに取引が進められます。
延納とは、相続税を一括で支払うことが困難な場合に、分割で納付することが認められる制度のことです。
もし取得した相続財産の多くが不動産で占められているときは最大20年間の分割納付が認められます。延納中に利子が発生することには十分注意しなくてはなりませんが、それでも一般的な借入により対処するときよりは負担割合が低くなる傾向にあります。
一方、延納を認めてもらうために担保を提供することもありますし、手続きの利用に手間がかかるというデメリットもあります。
また、「金銭での納付が困難な事由がある」と認めてもらうこと、そのうえで申告期限までに延納の申請を行わなければ延納制度は利用できません。
物納とは、現金による納付が困難な場合に、不動産や有価証券など財産そのものを提供して相続税を納めることをいいます。
物納制度には現金化を行う必要がないなどのメリットがありますが、手続きがより煩雑で審査に時間がかかるなどの難点も持ちます。
また、延納制度が利用できるのは「延納制度での対処が困難」である場合であって、「物納適格財産」を持っている場合に限られます。
物納適格財産とは、物納後に国が管理したり換価したりするのに支障がないものを指しており、極端に管理費用が大きなものや価額の変動が大きなものだと物納は難しくなります。また、「不動産・船舶・国債証券」を優先的に物納すること、次点で「非上場株式等」、その次に「動産」という順で物納を検討していくことになります。
現金が不足する場合、借入で現金を取得して納付するという方法もあります。
相続した不動産などを担保にすれば銀行やノンバンクからの借入も成功しやすくなります。ただし利息の負担がかかるため利率や返済計画をしっかり確認することが重要です。相続税の納付に対応するためのローン商品が提供されていることもあるため、借入を考えるときは一度金融機関で確認してみましょう。
相続放棄をするとその方は相続人ではなかったこととなり、遺産を取得しなくなりますので、相続税の負担も発生しません。
※遺贈や一定の生前贈与により相続税の課税財産を取得したときは、相続放棄をしても相続税が課されることがあるため注意。
※原則として相続開始から3ヶ月以内に放棄の手続きをしなければならない。
遺産の取得を望んでおらず、相続手続きや相続税の申告・納付など煩わしい作業に対応したくないという場合には相続放棄も1つの対処法となるでしょう。
故人が残した借金の額が大きく返済の肩代わりをしたくないという場面でも相続放棄は有効ですが、この場合、債務控除により相続税に関しては負担がなくなる、あるいは軽減されます。
ここで紹介した各対処法をまとめると、メリットとデメリットは次のように比較できます。
対処法 | メリット | デメリット |
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遺産分割で調整 | ・遺産分割協議以外の手続きが必要ない ・関係性が良好ならスムーズ | ・全員の合意が必要 ・相続人間でトラブルが起こる可能性もある |
相続財産の換金 | ・遺産分割後でも納税資金を確保できる ・高く売れる可能性がある | ・売却時に手数料や譲渡所得税がかかる ・希望価格で売却できない可能性がある |
延納の申請 | ・分割払いができる ・現金不足でも納税できる | ・利子税が発生する ・担保提供が必要な場合がある |
物納の申請 | ・延納が無理でも対応できる ・不動産などを手放せる | ・物納できる財産に制限がある ・手続きが複雑 |
借入 | ・短期間で納税資金を確保できる ・財産を保持したまま納税できる | ・返済負担が増加する ・借入審査に通らない場合がある |
相続放棄 | ・相続トラブルから解放される ・負債を引き継がなくていい | ・プラスの財産も一切受け取れない ・次順位の相続人に負担が移行 |
各自の状況により選択すべき対処法、選択できる対処法は変わってくるため、専門家の意見も取り入れながら対策を講じることをおすすめします。
税理士古野孝行
一般家庭から億を超える相続まで、広く対応が可能です。複雑な相続や、難しい土地の評価なども、安心してお任せください。
当事務所の税理士は、独立前から一貫して相続案件に注力しており、一般家庭から20億円規模の相続まで、累計で120件超の対応実績があります。専門性の高さと土地の評価には特に自信があり、その実力は他の専門家から相談を受けるほどです。若手税理士ですので、相続対策や相続発生時のみならず、その次の代までサポートできるのも強みの一つです。お困りの際はお気軽にご相談ください。
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税理士(東京税理士会 登録番号111177) 宅地建物取引士 日本商工会議所主催 簿記検定1級 財務金融アドバイザー (登録番号tky111177000) |
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